はじめに
今回はPCDJを使っている方が、クラブやライブハウスで「音が出なくなった時の対処方法」についてまとめてみました。
箱の現場でPCDJをプレイすると分かりますが、いろいろ繋いだり確認することが多く、それがうまくできていないと「音が出ない」という最も起きてほしくないトラブルに出くわすことがあります。
すると、自分ではきちんとやっているつもりなのに「なぜこうなる?」と焦ることになり、正常な判断が出来なくなっていきます。
もはや冷や汗が止まらない状態です。
もちろん、誰もこんなトラブルには遭いたくはありません。
しかし起こってしまう可能性は常に秘めているので、そのためにも事前に対応を知っておく必要があります。
この記事を読めば、PCDJを使う上でのそうした「音が出ない」緊急事態について、覚えておいた方がいいことを書いています。
もし、あなたが音が出なくなるようなトラブルに遭ってしまった時に、この記事を思い出してもらえれればもしかしたらヒントが見つかるかもしれません。
今回の記事はプレイ時間に余裕があることを想定して書いています。その点ご注意ください。
もしプレイ中にいきなり音が出なくなった場合は、経験上クロスフェーダーが片方に寄ってしまっていることが多いですw
今回の記事もPCDJを使っている方が実際にクラブやライブハウスでプレイすることになった場合を想定しています。
PCDJから「音が出ない」とは「どこ」から出ていないのかをまず確認しよう!
初めに確認しておきたい重要なことがあります。
それは「どこから音が出ていないのか?」というものです。
「は?何言ってんの?」と思われるかもしれませんが、この確認をしておかないと「ただの勘違い」で済むのか、それとも「大きなミス」をしているかの判断がつきません。
PCDJ初心者の方の場合、きちんと設定をして色々確認したのにもかかわらず「音が出ない」という未曾有のトラブルに陥ると途端にテンパります。
これは私も経験があるので間違いありません(泣)
こうなると自分を落ち着かせることなどできず、悪い方向ばかりを考えることになっていきます。
自分がいけないのか、PCがいけないのか、箱の機材がいけないのか、と頭の中で堂々巡りが止まらなくなります。
それを避けるために、まずは「どこから音が出ていないのか?」を第一に確認する必要があるのです。
そうは言っても、「音が出るものと言ったらスピーカーだろ?」と思いますよね。
ところが、実はここに見落としがあるのです。
DJをする際に音が出なくなるもう一つの機材には、DJに必需品である「ヘッドフォン」もあるのです。
最初に確認するのは、実は見落としやすいヘッドフォン!!
コレ、実は案外見落とします。
「CUE」を押して、曲を再生しているにもかかわらず「音がヘッドフォンから出ない!」という問題です。
すぐに頭を切り替えて、「あれをこうすれば~」と考えられればいいのですが、初心者の場合そうはいきません。
「ヘッドフォンから音が出ない!」=「スピーカーからも音が出ない!」と根拠なくそう考えてしまうのです。
なぜなら、PCやDJミキサーなど色々とつながった機材よりも、特に何もしていないヘッドフォンの方が正しく音が出るはずと勝手に思い込んでしまうからです。
この状況に陥ると、思考がどんどんパニックになっていき「スピーカーからも音が出ないのでは?」と考えてしまいがちになってしまいます。
したがって、このように考えないように、「ヘッドフォンから音が出ない場合」は「ヘッドフォンだけの問題」と区別して考えた方が得策です。
そして、この状況で起こっている問題には以下の三つが考えられます。
- ヘッドフォンのCUE音量が下がっている
- 「CUE」のチャンネルが実は間違っている
- ヘッドフォンのプラグがきちんと差し込まれていない
どれも簡単なものばかりですが、これらが実に見落としやすいものになります。
とはいえ単純な問題なので、以下のようにおこなえばすぐに問題は解決します。
- ヘッドフォンのCUE音量が下がっている→CUE音量を上げましょう
- 「CUE」のチャンネルが実は間違っている→正しくしましょう
- ヘッドフォンがきちんと差し込まれていない→挿しましょう
しかしこの中で最も分かりにくいのが、三つ目のヘッドフォンがきちんと差し込まれていない場合です。
頭を巡らせて色々やっているのに、どうしてもヘッドフォンから音が出ない場合はこれがあり得ます。
自分ではきちんと挿したつもりが、実は挿さっていないというパターンです。
どうしてこの問題が起きるかというと、DJ用のヘッドフォンのプラグは「フォーンプラグ」というものを使用しています。
このフォーンプラグは3.5mmステレオミニなどより長いプラグなので、どうしても挿したつもりが奥まで挿さっていないということがあるのです。
これにより単純な「ヘッドフォンから音が出ない」という問題に出くわすのです。
こんな問題はできるだけ避けるように、ヘッドフォンは必ず奥まで差し込むことを徹底した方がいいでしょう。
また、音が出ない問題に遭遇したら必ず機材より先にヘッドフォンを確認する癖をつけるといいです。
正直言って、これらの諸問題はただただ単純なものばかりです。
なんだこんなことかと思えるものですが、DJをするにはいろんなことを考えているので、どうしても単純なところを見落としやすくなってしまいます。
とはいえ、すぐに気づけばどうってことありませんので、ここで解決しているのであれば心配はいらないでしょう。
ただ、もしあなたが他のDJなどにすでに相談していたら、ちょっと恥ずかしい思いをするかもしれませんw
箱の「スピーカー」から音が出ていないときのチェック項目はこれだ!
クラブやライブハウスなどの「箱のスピーカーから音が出ていない」問題は、正直ヘッドフォン問題よりずっと厄介ですw
それもそのはずで、箱のスピーカーから音が出ていないという状況はイベントのトラブルに直結するからです。
せっかくDJとして出演させてもらえるのに、プレイできないことになってしまってはいろんな意味で大変残念なことになってしまいます。
もちろんそうはならないように、ここの項目を確認してできることをやっていきましょう。
さて、では箱のスピーカーから音が出ない問題に対しどこから考えるか?というところですが、特にこれが先というものはありません。
もう全体から見ていき、細かいところを考えていく方がいいでしょう。
PCDJの場合は特にそうなります。
なぜなら、接続は全部できていて、PCでは再生しているのに音が出ていないとなったら、あらゆる問題の可能性があるからです。
それらを個別に考えるよりは、全体的に考えてそこから絞り込んでいくようにしていかないと、解決への糸口が見つからなくなります。
この記事では文章でしか伝えられないため、段階的にしています。
また、一つ一つに説明を付けると分かりにくくなるため、リスト形式にしておきます。
「DJコントローラー」側のチェック項目一覧
- 曲が再生されているか?
- クロスフェーダーが真ん中に来ているか?
- チャンネルフェーダーは上がっているか?
- イコライザーはフラット(12時)か?
- フィルターやエフェクトはかかっていないか?
- ゲイン(トリム)は上がっているか?
- マスター音量は上がっているか?
「DJミキサー」側のチェック項目一覧
- 再生しているチャンネルの音量LEDランプは点いているか?
- クロスフェーダーが真ん中に来ているか?
- チャンネルフェーダーは上がっているか?
- イコライザーはフラット(12時)か?
- フィルターやエフェクトはかかっていないか?
- ゲイン(トリム)は上がっているか?
- マスター音量は上がっているか?
「ケーブル」を確認する
- PCとDJコントローラーのUSBを抜き差ししてみる
- DJコントローラーの電源ケーブルは繋いであるか?
- DJコントローラーからDJミキサーにつなぐケーブルは正しく挿さっているか?
- DJコントローラーの「出力」とDJミキサーの「入力」は間違っていないか?
ここまでで確認していけば、もう「スピーカーから音が出ない」という問題ほぼ解決しているはずです。
というよりそう願いたいですw
PCDJの場合、厄介な問題になるのはこの先になるからです。
PCDJの根本的な問題も考えよう!
PC自体の問題を考える
色々やってPCがおかしいと判断できるのであれば、まずはPCを再起動しましょう。
なんだかんだ言って最も有効な手段です。
現代のPCはスリープで使うことが常態化しているので、それまでDJ以外にも色々と他の作業でも使ってきていると思います。
そうなるとメモリを使い込んでいたりもするので、そのメモリを解放させるためにも一旦PCを再起動させましょう。
こうしてPCをリフレッシュさせ、余計なアプリは起動せずDJソフトだけ起動させれば負荷をかけずに済みます。
DJコントローラーの問題を考える
DJコントローラーの電源を消したり、点けたりしてみましょう。
何かしらコントローラーに不具合が起きているかもしれないからです。
もし、これでもいつもと変わらなければDJコントローラー側の問題でないと考えられます。
DJソフトの問題を考える
DJソフトの設定に関する問題の場合はより複雑になってきます。
ソフト側の問題ととなると設定項目も多くなるので、どれが原因かを見つけ出すには結構至難です。
おそらくチャンネルの設定だったり、マスターアウトの設定だったりだとは考えられますが、さすがに「ここだ」と言えないのが正直なところです。
一つ言えるとしたら、前回DJソフトを起動した時にどこをいじったかが鍵になるかもしれません。
ここまであなたが試してきて、うんとすんとも言わないのであれば、正直すぐの復旧は難しいと考えた方がいいでしょう。
もっと時間をかけて確認していく必要があります。
もしこの時点でイベントの出番が1分前とかだったら、私からは申し訳ありませんがご愁傷様としか言えません。
「音が出ない」なんていう、非常事態なトラブルを予防するには?
機材の操作による問題なら上のリスト通りに確認していけば解決します。
ケーブル関係も繋ぎ直しでいけるかもしれません。
では、「音が出ない」問題を予防できるとしたらどこになるでしょう?
この予防策はPC周りの対応になります。
PCDJはとても素晴らしいDJ環境を提供してくれますが、その土台はPCであり、動かすのはソフトウェアです。
したがって、どうしてもPCのバグなどに左右されてしまいます。
そしてDJソフトもあくまでソフトなので問題を抱えることが少なくありません。
では、対策としてどのようにすればいいのでしょう?
それは、基本的にはOSのアップグレードを避けることです。
PCは時代に合わせて常に新しいOSが提供されます。
新しいOSはあなたにとって魅力的に映るかもしれませんが、不用意にメジャーアップグレードをすると問題を抱え込むことになる可能性があります。
アップグレードは、その名前だけであればとても素晴らしい響きなのですが、必ずしも最高の恩恵を与えてくれる訳ではないからです。
なぜならこうしたOSのアップグレードには、新しい機能が入る以外に、他に予期せぬバグも生み出している可能性があります。
バグが存在するのであれば、どこにどう影響が出るかは誰にも分かりません。
もちろんOSの開発者たちは可能な限りデバッグしているのは間違いないのですが、何十億ものコンピューターのありとあらゆる使い方を想定しているわけではないからです。
特に、よくあるOSアップグレード後に見られる光景として、やはりバグが発見されてしまい、結果的にパッチアップデートが配布されることも少なくありません。
そうなると、パッチアップデートのせいでまた別の問題も浮上する可能性があります。
これらを考慮するのであれば、まずはアップグレードを控えることが最も大事です。
そして、DJソフト側のメーカーによるOS対応状況を待った方がいいでしょう。
メーカー側がきちんとチェックしてからの方が安心できるはずです。
またDJソフトのアップデートも同様です。
どうしても新しい機能を試したいというのでなければ、しばらくは様子見しておいた方が無難です。
特にアップグレードやアップデートした次の日がイベントの場合、最も怖い状況になりかねないので絶対に注意しておきましょう。
もし速攻でアップグレードしたいという方は、別のPCを用意してそっちでやった方が安心できると思います。
まとめ
音が出ないというトラブルは、DJの中でも一番嫌なトラブルです。
レコードでもCDJでも、おそらくどんなDJも背筋が凍りつくことになります。
そしてあなたが使っているのはPCDJです。
つまり、現場の機材だけでなく、自らの機材を使うことによりさらに多くの問題を抱えていることになります。
そうした状況下の中で、いかに冷静に考えられるか、またどのように対応できるかがとても重要になります。
ちょっとハードルを上げてしまいますが、事実そうなのですから受け入れる必要があります。
しかし、よほど複雑なことをしない限り、たいていの問題は解決できるはずです。
仮にDJソフトが無料のものだったり新しく出てきたものであればさすがに心配になりますが、今はどのソフトも成熟しています。
また、PCもよほどスペックが低かったり変わったものでなければ、大抵は問題ありません。
ですので、最悪の状況まで行くことはあまりないはずです。
もし、何かPCをいじったりソフトの普段触っていないところをいじる時は、その部分を必ず覚えておくといいでしょう。
バックアップもしておけるのであればさらに安心です。
トラブルへの対応を頭に入れつつ、ぜひ楽しいPCDJでプレイしていきましょう!