はじめに
今回は、イーサネットとセットで出てくる『MACアドレス』について解説していきます。
では、『MACアドレス』とは何なのでしょう?
結論から言えば、MACアドレスとは『ネットワークに繋がるあらゆる機器の個別の番号』になります。
『MACアドレス』とはネットワークに繋ぐための個別の識別子
MACアドレスと聞いて、あなたはもしかしたらApple社のコンピューターであるMacのことを思い浮かべるかもしれません。
しかし、間違いがないように全く別のものだと先に言っておきます。
『Macアドレス(Media Access Control Address)』とは、イーサネットなどでネットワークに接続できる機器に、必ず割り振られる識別子のことです。
識別子というのが何だか分かり辛いですが、要は、NIC(Network Interface Card)から始まり、ルーター、プリントサーバー、NAS、テレビ、レコーダー、ゲーム機、タブレット、スマホに至るまで多くの機器に付けられている固有の番号のことです。
基本的には、イーサネットで利用するために必要となる、上記に書いたNICに付けられる番号ですが、今では多くの機器が有線LANでも無線LANでもネットワークに繋げられるようになったので、それぞれの機器にも付くようになっています。
では、MACアドレスとは何に使うのかというと、前提として、インターネットワーク側に繋がるルーターには、そのネットワーク内にある全ての機器を識別しておく必要があります。
そうしなければ、インターネットと各機器との通信ができないからです。
そのために、ルーターには『DHCPサービス』という、IPアドレスを各機器に割り振れるサービスを用いるのですが、IPアドレスを割り振るにも機器を特定する何かがないと割り振ることができません。
その特定する何かが、MACアドレスというわけです。
その仕組みを簡単に説明すると、機器をネットワークに接続すると、機器がルーターにMACアドレスを送って、ルーターから使用されていないIPアドレスを受け取ります。
機器は、受け取ったIPアドレスが、他の機器で本当に使用されていないかを『ARP(Address Resolution Protocol)』と呼ばれるネットワークインターフェース層のプロトコルを使って確認し、問題がなければそのIPアドレスを使うことをルーターに伝え、通信が行えるようになります。
このように、各機器にMACアドレスがあることで、ルーター側が個別の機器として認識できるようになるわけです。
そして、個別にするためには、各機器のMACアドレスも他の機器と重複しないように必ず固有の番号が必要になります。
こうした決まりもあり、MACアドレスはハードウェアアドレスとも呼ばれることもあります。
(ただし近年ではコンピューターの中の仮想マシンにもMACアドレスが使われているので、使い方には語弊がないようご注意を)
『MACアドレス』の見方
MACアドレスは、以下のように「0〜9」までの数字と「A〜F」までの英字を用いて、16進法として表し、文字の間には「−(ハイフン)」か「:(コロン)」で区切ります。
『11-AA-22-BB-33-CC』
これを2進法表記であるビットで合計すると、48ビットの数列になります。
MACアドレスは、48ビット中、前半部の24ビットである3オクテットと、後半の24ビットである3オクテットを分けて番号が付けられます。
前半部の3オクテットは、IEEE(米国電気電子学会)によって割り当てられた、ベンダーであるメーカーを表したコードが付けられます。
そして、後半部の3オクテットは、メーカーが独自に割り振れるものになっています。
つまり、どちらも個別の番号になっているものなので、合わせても世界で唯一しかない番号となります。
これによりMACアドレスは、原則として他の機器と重複することはありません。
しかし、MACアドレスは自由に書き換えられる方法があるので、世界で唯一かどうかは使い方によって変わってきてしまうのが実情になっています。
まとめ
MACアドレスは、ネットワークに繋がるほとんどの機器についていますが、私たちは特に意識することはまずありません。
しかしDHCPサービスと同じように、MACアドレスのおかげで、ネットワーク通信が格段に便利になっているわけです。