はじめに
今回は、『FTPサーバー』について解説していきます。
では、『FTPサーバー』とはどのようなものなのでしょう?
結論から言えば、『クライアントとファイルの送受信を可能にするサービスを請け負った』サーバーです。
FTPサーバーの役割と利用方法
『FTPサーバー』は、インターネット上でファイルを送受信するためのサーバーです。
イメージ的には、IT企業などがインターネットで『アプリ』を配布しているサーバーと考えていいでしょう。
しかし覚えておいていただきたいのは『FTP』自体はサーバーを表すものではなく、あくまでサービスだということです。(後述します)
FTPの通信方式は『FTP(File Transfer Protocol)』というプロトコルを使用しています。
このプロロトコルは非常に古く、1970年代に作られ1985年に標準化されているような古典的なプロトコルになります。
しかし、普段からサーバーとのやりとりをする人にとっては重宝がられる存在であり、現在でもよく使われています。
その理由は、『多くの人が使っている』というのが一番大きいでしょう。
ネット上で『FTP』と調べれば、たくさんのWebサイトがその利用方法を解説していますし、今までに多くの本も売られています。
また、他には『ファイル転送が安定している』ことや『OS』などに依存せずに使える点などもありますね。
要は『使いやすい』ってことになります。
では、FTPを利用するにはどうしたらいいのでしょう?
まず前提として、レンタルサーバーを契約していなければなりません。
そしてもう一つ、クライアントにはFTPが対応しているアプリを入手する必要があります。
FTPアプリで代表的なものは、Windowsでは『WinSCP』、Windows、Mac両方で使える『FileZilla』などがあり、これらはフリーで利用できます。
そしてそのアプリを起動すると、目的のサーバーと接続するために必要なサーバーの『IPアドレス(ホスト)』やあなたの『ID』、『パスワード』などを入力します。
そこで問題がなければそれで接続が完了になります。66
たったこれだけで、クライアントとFTPサーバー間でのファイルの送受信が可能になります。
ファイルはHTMLや画像など送れるものならなんでも可能です。
そのサーバー内にWebサイトを構築しないのであれば、ただのファイルサーバーとしての利用も可能です。
このように、FTPを利用するには事前準備と接続設定ができれば特に難しいことはなく、誰でも扱えるというわけです。
FTPサーバーとファイルサーバーは同じもの
上記を読んであなたは何かに気づいたかもしれません。
それは『FTPサーバー』と言っているけど結局『ファイルサーバー』と何が違うの?というものではないでしょうか?
確かにそのよう疑問が浮かぶのは間違いではありません。
正直、FTPサーバーとファイルサーバーの区別はありません。
どちらも同じようにファイルを『アップロード』したり『ダウンロード』ができますからね。
では、何が違うかというと、先ほど書いたように『FTPはサービスだ』ということになります。
どのようなサービスかというと、『プロトコル(約束事)という通信方式』によります。
現実の世界で相手に荷物を送ろうとすると、大きさにもよりますが、郵便で送るか宅配で送るかを選択しますよね。
それと同じで、FTP以外にも通信方式があるのです。
他の通信方式としては、Windowsの共有フォルダである『SMB(Server Message Block)』や『CIFS(Common Internet File System)』というものがあります。
『SMB』や『CIFS』は、社内ネットワークなどの専用回線で使用されることが主であり、『高速』でやりとりできるものです。
しかし、その分きちんと通信が行われなかった場合は、ファイルが破損することになります。
『FTP』の場合、インターネット回線のような、専用回線より比較的不安定な回線で用いられますが、『FTP』のメリットは、そのような低速な回線であっても必ずデータを送り届けるようにするという点です。
このように、FTPはインターネット間でのファイル送信を目的とした、通信方式のサービスなのです。
FTPサーバーの接続方式
FTPの仕組みついてより詳しく書いていきましょう。
FTPサーバーは『制御用』と『データ本体』という2つのコネクション(接続)を使用してファイルの送受信をおこなっています。
『制御用』のコネクションは、FTPサーバーへのアクセス、IDとパスワードによる認証、転送するファイル、データ本体のIPアドレスとポートの通知などサーバーへの命令のために使われます。
『制御用』のポート番号は『21』です。
『データ本体』のコネクションは、その名の通り『データ』のやりとりに使われ、ポート番号は『20』です。
このように制御を分けるメリットは、大量のデータを送受信していても、安定した通信が可能になることが挙げられます。
ただ、それに代わりデメリットとして、IDやパスワードの暗号化がされない通信なので、悪意のあるユーザーに盗み見られてしまう可能性がありました。
そこで、その欠点をなくすためにFTPとのやり取りにも暗号化の技術が生まれました。
それは『SSL/TLS』という技術の『FTPS(File Transfer Protocol over SSL/TLS)』と『SFTP』という『SSH(Secure Shell)』という2つのプロトコルで、今ではFTPサーバーにつなげる際にこれらを使うことを奨励されています。
まとめ
『FTPサーバー』の役割が何となく掴めたでしょうか?
FTPサーバー自体はファイルサーバーとその用途は変わりません。
ただ、FTPという通信方式を利用して、私たちはファイルのアップロードやダウンロードがおこなえるわけですね。