はじめに
今回は、『クラウド』とよく比較される『オンプレミスサーバー』について解説していきます。
では、『オンプレミスサーバー』とはどのようなものなのでしょう?
結論から言えば、『企業内で構築し運用されるサーバー』になります。
『クラウドサーバー』についてはこちらの記事を参照
オンプレミスサーバーとは何?
前記事は、『共有サーバー』『VPS』『クラウド』『専用サーバー』などの『ホスティングサーバー(レンタルサーバー)』について説明をしました。
ホスティングサーバーは使い方によってその利用形態を考えるという内容でしたね。
ところが一般的な企業は、このようなレンタルサーバーを利用しないで自社でサーバーを構築するケースも多いのです。
特に、外部に公開する必要もなく、自社の中で使えればいいというファイルサーバーなどが該当してきます。
このような、企業内で構築し運用されるサーバーを『オンプレミスサーバー』と呼びます。
IT知識をお持ちであればご存知だと思いますが、そうでない方はあまり聞かない言葉ですよね。
この言葉が出てくる以前は、というより今でも使われているかもしれませんが、『自社サーバー』と呼ばれていたものです。
なぜこの『オンプレミス』という言葉が出てきたかというと、それは『クラウド』と比較されるために生まれてきました。
オンプレミスサーバーが存在していた背景
オンプレミスサーバー(自社サーバー)のそもそもの背景として、企業ではファイルサーバーやプリントサーバーが必要な場合は、以前から自社で構築する事が多いです。
その理由は、物理的に自社にサーバーがある方が何かと便利ですし、企業で利用するサーバーを外部のもので利用するという考え方やそういったクラウドサービスもなかったことにもよります。
また、インターネット黎明期の頃を考えるとインターネット回線はまだまだ遅く、業務ではあまり使えたものではありませんでした。
そういった点からも、結局、企業が使うサーバーは自社で構築することが当たり前だったわけです。
ファイル共有やプリントサーバーの恩恵は分かりきったことでしたし、自社内であれば回線速度の心配も必要ありませんでした。
オンプレミスサーバーのメリット
では、オンプレミスサーバーのメリットはどういった点なのでしょう?
まずは、自由にサーバー構築ができることが大きいです。
自由ということは一切制限がないわけなので、その企業に必要なサーバーを作ることができます。
また、既存の社内システムに合わせられる点もあります。
既存のシステムを外部のサーバーと合わせて使おうとすると、既存のサーバーの仕組みと合わなかったり、その合わせる仕組みを作らなければならなかったり、いろいろと不都合が出てきてしまいます。
また、回線速度の問題もあります。
先に書きましたが、やはりデータのやり取りをおこなうわけですから、その速度は早い方が良いのは言うまでもありません。
自社内であれば、直接クライアント(端末)を接続できるので圧倒的に早いのは当たり前です。
そして、インターネットを介さないので、会社の重要なデータの管理が楽にできます。
加えて、ホスティングサーバーのことをを考えると外部にある事を忘れてはいけません。
要は、物理的に自社と離れているわけです。
もしレンタルサーバーに何か災害や事故が発生した場合、取り返しがつかなくなることが考えられます。
しかも、レンタルサーバーはインターネットを利用しているので、インターネット回線が使えなくなれば、もはやどうにもなりません。
反対に、オンプレミスサーバーはインターネットに繋がってない場合も多く、悪意のあるものからのハッキングなどの恐れがないという点は大きなメリットになります。
メリット
- 自社で自由に構築できる
- インターネット回線に依存しなくて済む
- 物理的に自社にあるという安心感とデータの管理が楽
- 悪意のあるものからのハッキングの恐れがない
オンプレミスサーバーのデメリット
一方、クラウドでほとんどのことがまかなえるこの時代に、オンプレミスサーバーを構築し運用することのデメリットは何でしょう?
これはメリットの反対のことが挙げられますね。
まずは、物理的にサーバーを構築しなければならないことです。
物理的にサーバーを構築するということは、IT系の会社ならいざ知らず、IT以外の企業では日常業務が全く違うため、サーバー構築に長けた人材や知識を持っている人が必要になります。
すでに、そういった人材を確保できていれば問題はありませんが、新たに雇用する必要が発生してくるとなるとコスト増は免れません。
また、サーバー用のPCやOS、サーバーソフトなどを用意する必要もあり、サーバーの初期構築費などのコストも生まれます。
そうなってくると、よほどそのサーバー構築にメリットがない限り企業はどうしても渋ります。
さらにはトラブルや障害などが発生した際の対応も考慮しておかなければなりません。
初期構築時だけにIT人材をアルバイトで募集して、構築が終わったら契約終了というわけにはいかないわけです。
このような観点から考えると、オンプレミスサーバーを構築するよりもホスティングサービスやクラウドサービスを利用する方が手取り早いと考えることもあるでしょう。
加えて、オンプレミスサーバーを構築した後の利用方法にも欠点が出てきます。
それは、オンプレミスサーバーをインターネットに繋いでいないと外部からの利用が全くできないことです。
今やノートPCだけにとどまらず、タブレットやスマホなどの端末でもそれなりの業務ができてしまう時代です。
それは、インターネットを利用できる環境があるからこそ可能なのですが、自社のみで利用されているオンプレミスだとそうはいきません。
したがって、コストをかけてせっかく構築しても、利用面から考えるとどうしてもクラウドには劣ってきてしまう可能性があるわけです。
これらの点がオンプレミスサーバーのデメリットになってきます。
デメリット
- サーバーを構築するには知識がある人が必要
- 初期構築費用がかかりコストが増える
- トラブルや障害への対処が必要になる
- インターネットに繋いでいないからこその不便な点もある
クラウドサーバーはオンプレミスサーバーの代わりにはなれない?
近年では、クラウドサービスも大変充実してきています。
デメリットの欄にも書きましたが、今ではクラウドサービスでまかなえることも多くなりました。
例えば、googleドライブやOffice365などの『SaaS』を利用すれば企業活動のほとんどのことが可能であり、しかも社員といつでも共有できます。
そうなると、「オンプレミスサーバーはもう企業からなくなり、全てをクラウドに任せることはできないのか?」と考えが出てきますよね?
まぁ、その企業で自社内のデータをクラウドでどう扱うかだけですから、やろうと思えばすぐにでもできるでしょう。
しかも、クラウドサービス側から見れば、それがjpg画像だろうが経理データだろうがどちらでもよく、顧客から預かったデータなので何が何でも安全に管理しようとします。
クラウドサービスは信用第一なので、より強固で安全なサービスが命題であり、顧客のデータを守れなければその信用は失墜することになるからです。
また、ビジネスである以上、他のホスティングサービスよりも有利な立場を築きたいと考えるのは必然なので、より安全にするためのサービスを模索していくのは間違いありません。
しかし反対に、利用する企業から見ればそうやすやすと自社内のデータを預けられないのもまた事実です。
どんなにクラウドサービスが強固で安全であったとしても、どうしたって重要なデータを外部に置くことは、はばかられます。
したがって、クラウドサービスが世に溢れても、企業内のオンプレミスサーバー自体はなくならず、クラウドに持ち出せるものだけ移行していくような流れになっていくことが想像できます。
これからは、オンプレミスサーバーは重要なデータを扱うものだけという役割で縮小していき、他のデータはクラウドに任せ、うまく共存をしていくというイメージが理想的になるのではないでしょうか?
とはいえ、クラウドは利用する人が増えれば料金も増加するものになってくるサービスもあるので、そのコストは考慮しておかなければならないのと、その「サービスがいつまで続くのか?」という点を見過ごしていると、後でとんでもないしっぺ返しがやって来るかもしれません。
まとめ
『オンプレミスサーバー』というものが分かったでしょうか?
今、企業はクラウドサーバーを利用することが多くなりました。
しかし、オンプレミスサーバーが企業からなくなるわけではありません。
両方をうまく使って、クラウドで使えるものはクラウドでというようにして、より効果的なビジネスを展開していくことが求められていくでしょう。