はじめに
この記事では、Jポップやアニソンをメインに選曲されているDJ初心者の方に向けてどんな曲であっても、それなりに上手く繋がるように聞こえる手法をお教えます。
(本当に初心者向け記事であり、ベテランの方には当たり前な話であるのであしからず)
DJ初心者の方が必ずと言っていいほど悩むのが、曲と曲の「つなぎ」です。
しかも、四つ打ちでない曲で選曲した場合、ジャンルもテンポもバラバラになるのが当然です。
そして、それらをどう上手く繋げられるようにするか。
初心者の関門の一つになります。
ところが、ご安心ください。
ある考え方により、この解決方法が実はあるのです。
こちらを読めば、DJが初めての方でも間違いなく『それなり』に繋げるようになりますので、どうぞお付き合いください。
『Jポップ』や『ロック』『アニソン』など、『四つ打ち』ではない曲をDJでかけるときの弊害とは?
DJという技術、引いてはクラブミュージックは『HOUSE』というジャンルがルーツです。
その後、『TECHNO』や『TRANCE』などを筆頭に、数え切れないほどのエレクトロニックミュージックのジャンルが生み出されました。
まぁ歴史に関してはここでは置いておいて、要はそういった流れを組んで世に浸透してきたので、DJのルーツである基本のリズムは『四つ打ち』がベーシックです。
だから、大きなクラブでは常に四つ打ちがメインでかけられています。
昨今の大きなムーヴメントであったEDMもやはりその根幹は四つ打ちがベースであり、その上にフォークやカントリーっぽいジャンルのメロディーを載せていたりもしていました。
とは言え、世の中にある音楽が全て四つ打ちだけという限定的なものではもちろんなく、多様な文化と共にあらゆる音楽が生まれてきたのも事実です。
また、技術の発展によりDJという役割がそれほど特殊な物でもなくなり、機会があれば誰でも触れるように敷居が低くなったのも事実です。
すると、当然DJをやってみたいという人は増えることになり、DJがかける音楽も多様性を増すことになっていったわけで、そうなると、現在はそのイベントやパーティーに合った、より柔軟な選曲を用いてイベントが開かれていることもしばしばです。
そうした多様なイベントが開かれるのは、時代の流れであるし、DJという役割がそう人々に求められているものであると考えられるので、それも正しいDJの在り方だと思われます。
ただし、そうなってくると、四つ打ちをメインにしないでDJをやりたいという人がかけたい曲は、当然リズムに重きを置かれなくなってきます。
なぜなら、率先して四つ打ちの音楽に触れる機会を作ってきていないからです。
もちろん、その状況を否定する気は毛頭ありません。
「HOUSEやTECHNOなんか知らないよ」という方がDJをしてはいけない理由などないし、あなたにも好き嫌いがあるわけで、Jポップやロック、アニソンなどあなたの好きなジャンルを大事にしていただければ良いと思います。(できれば少しは知っていて欲しいけどw)
それに問題点はそこではなく、そのリズムに重きを置かれないことによる弊害として、初心者の方にとっては『四つ打ち以外の選曲によるつなぎ』をどうするか?という問題に直面することになってしまうことです。
『四つ打ち』をつなぐ場合と『BPM』を操作することで与える影響
四つ打ちのつなぎの場合、BPMを合わせれば二つの曲のキックを同調させて曲を繋げることができます。
では、Jポップやアニソンなども同じようにBPMを合わせれば曲をつなぐことはできるのでしょうか?
これは多くの場合残念ながらできません。
その理由は、Jポップやアニソンなどが元々曲と曲をつなぐように作られていないからです。
BPMを合わせて曲をつなぐやり方は、四つ打ちであるエレクトロニックミュージックの大きな利点になります。
ただし語弊がないように言っておきたいのは、いくらエレクトロニックミュージックであってもBPMを合わせれば何でも良いというわけではないことです。
例えエレクトロニックミュージックでも、BPMを10や20も上げたり下げたり操作すれば、その曲の元のテンポは大きく変わることになります。
その曲を知らない人が聞けばそういうものかと思えますが、反対に知っていればものすごく違和感が漂うことになり、「BPM変えすぎでしょ?」と思われることになります。
仮にエフェクト的な感じでBPMを操作すれば上手くいくかもしれませんが、それはまた別のテクニックの話なので、ここでは割愛します。
そして、BPMを操作することで最も大きな違和感を生じさせるものは、何と言っても曲の中に歌手の『歌』が含まれているものです。
歌もののBPMを変えると、明らかにスローだったり、反対に早口に聞こえてしまうので、誰が聞いてもおかしいことが丸分かりになってしまいます。
仮にお客さんがその曲が好きであればあるほど、原曲のリズムや歌の抑揚が脳や体に刻み込まれているわけで、そうなるともはや弁解の余地はありません。
したがって、Jポップ、ロック、アニソンなどの歌ものは可能な限り、BPMを上げ下げしないほうがベストなのは火を見るよりも明らかなのです。
もちろん、ぜったに変えてはいけないわけではありません。
繋ぐ際にどうしてもBPMを変えざるを得ない、もしくは変えたほうが違和感が少ない場合など、効果的になるのならそうした方が良いでしょう。
ここは臨機応変です。
ただし、上記でも書いたように歌ものに+-10近く上げ下げすることは賢明ではなく、可能な限り少ない幅にしておいた方がお客さんに優しいのは言うまでもありません。
要は、聞いてくれる人々に違和感をなるべく感じさせないようにすることが先決であり、そういった点を注意することが安心感を与えられることにもつながるわけです。
つなぎのヒントは『テレビのCM間』にある?
では、「Jポップやアニソンをどうやってつないでいくのか?」ということに触れていくわけですが、先に言っておくことがあります。
それは、この手法がテクニックを用いて綺麗に繋ぐと言うやり方というよりは、正直人間の耳をごまかすと言うやり方に近いことです。
ちょっと話が脱線しますが、あなたはテレビCMを見たことがあるでしょうか?
おそらくありますよね?番組の間に何度もいくつも挿入されるアレです。
あのようなCMはほとんどが15秒から30秒ほど流れ、各社が内容を宣伝した後に次のCMに切り替わっていくことになりますが、実はこのCMの間には視聴者にちょっとした効果をもたらしています。
それは、CMとCMの間には必ず1秒『無音状態』が作られているのです。
これは意識しても一瞬のことなので、気づきにくいことですが、実はこれが視聴者にとってとても大事なものになっています。
それはCMの無音状態が、CMが切り変わったことを無意識に知らせてくれているものだからです。
仮にCM間に音が途切れず続いてしまった場合、視聴者は最初のCMがずっと続いているように感じられてしまい、結局何のCMかが分からなくなることになります。
そうなると、当然CMを提供している各社の広告が意味をなさないものになってしまうので、それは避けなければならず、結果的にテレビ業界は敢えてCMには無音状態を作るようにとフォーマット化されています。
さて、ではこのCM理論を無理やりDJのつなぎに転用してみましょう!
曲は好きなJポップやアニソンを想像してください。(四つ打ちじゃなくていいです)
先ほどのCMの話のように、つなぐ時に無音状態を作ってみるわけです。
つまり、つなぎたいところでAの曲の縦フェーダーを下げてから一瞬無音状態を作り、Bの曲の縦フェーダーを上げてみます。
想像できましたか?
きっとできたと勝手に思いこみます。
さて、ではこれでいいのでしょうか?
いや、全くダメでですw
DJの前提は、音を途切れさせないことが至上命題です。
たとえ一瞬でも無音状態を作ってしまったら、その瞬間箱や会場はブーイングの嵐になります。
楽しんでいたお客さんのフィールはトーンダウンし、反対に余計な心配をさせてしまうことになりかねません。
では、やはりCMの理論は使えないのでしょうか?
明らかに無理やりすぎたでしょうか?
ところが、案外そうでもなく実は近い線まで来ているのです。
これこそ『Jポップ』や『アニソン』を簡単に繋げる手法
ここからはもう初心者を脱した人にとっては、「そんなこと当たり前だ」と思われるような内容なので、もう読み飛ばしちゃっていいかもしれません。
先に結論を書くと、初心者はこれができればどんな曲でもDJらしく綺麗に繋ぐことができます。
しかも四つ打ちでもなく、BPMが違っていても構いません。
嘘だろ?と思えますが、これが本当です。
初心者はビックリするくらい自分が天才だと思え、しかもいつでも使えるし、たとえBPMが違っていても「ドンとこい!」と思える最もベースのテクニックになってくれます。
ただし「らしく」です。あくまで「らしく」。
(あと語弊がないように先に言っておきますが、四つ打ちのビートマッチングの話ではありません)
ビートマッチングは以下の記事を参照
では、どうするかというと、先のCMの話ではCM間に無音状態を作ることで、視聴者にはずっとCMが続いていないようにさせていたわけですよね?
つまり、無音は音と音の切り替えができるということに間違いはありません。
しかし、これをそのままDJに転用すると音がなくなってしまうので、完全に無音にすることは出来ません。
そうなると、完全な無音にしなくとも、音がなくなることで音の続きを避けられるのであれば、音量を少しでも小さくすれば良いのでは?ということが浮かんできます。
さぁここで実践です!
前提
- アップテンポなJポップ2曲
- Aメロ、Bメロ、サビまでかけて次の曲に繋ぐことにする
- BPMはそのままでいじらない(SYNCも必要なし)
- クロスフェーダーは真ん中にしておく
つなぎ実践!
- Aの曲がかかっている
- Bの曲をデッキBに用意する(ヘッドホンで曲を確認する)
- Aのサビが始まる
- Bの縦フェーダーを上まで上げる(CUEやPLAYは押さないよう注意)
- サビ終わりまでくる
- Aの縦フェーダーをゆっくりと半分くらいまで下げていく
- BのPLAYを押す
- Aの縦フェーダーをそのまま最後まで下げきる
イメージはこんな感じ
すると、どうでしょう?
Aの音が次第に小さくなっていく中で、Bの音がドンと出ることにより、ビックリするほど綺麗につながったように感じられるはずです。
しかも完全な無音にはなってはいません。
とても簡単であり、誰でもでき、そして期待以上の効果が出ます。
もし現在つなぎであなたが悩まれていたら、騙されたと思ってやってみてほしいです。
当たり前すぎますが、初心者の方が覚えるには最適な手法です!
これができれば、例え初心者でもJポップやアニソンを選曲した場合に安定して繋げられるようになるはずです。
ただし、こうは書いていてもこの手法にデメリットがないわけでもありません。
次の二つには十分注意してください。
選曲が結局大事!
何でも繋げられるからと言って、その言葉通りに何でも繋げようとしないことです。
選曲する際に、ある程度BPMを揃えた方が良く、BPMが50や60も違う、アップテンポな曲→スローテンポな曲→アップテンポな曲などにはせず、上手く構成することを心がけてください。
もし、上記のように繋ぎたいなら、構成に意図を持たせるなど、ここぞという明確性があると良いと思います。
曲のイントロを知っておくこと!
次にかける曲のイントロがどうなっているかを必ず知っておくことです。
この繋ぎ方法は、次にかける曲のイントロによって効果が大きく変わってきます。
Jポップやアニソンなどをショートミックスで繋ぐ場合、Aの曲の繋ぎたい場所は大抵サビ終わりになるはずです。(プレイの仕方にもよります)
つまり、音が最も盛り上がっている場所です。
その後にBの曲のイントロが小さく始まっていくような曲だと、無音ではないにしろそれに近い状態がしばらく続くことになってしまいます。
すると、お客さんたちの雰囲気を変えてしまうことになるので、それは避けるようにしておいた方が良いでしょう。
可能なら前もって音が大きくなる直前などに『CUE』を設定しておいて、つなぎに違和感がないかを確認しておくことが大事になります。
そして、もしかしたらあなたは「これだったらクロスフェーダーだけでよくない?」と考えたかもしれません。
ところがクロスフェーダーだけではダメな理由がこのつなぎにはあります。
それは、クロスフェーダーの場合は音を小さくする(音量を下げる)ことができないからです。
縦フェーダーを両方のデッキで上まで上げている状態で、クロスフェーダーをAからBに変えるとAの音量はそのままでBに変わっていってしまいます。
すると、音量を下げた場合のつなぎにはならず、大きな音量のままつながることで、少なからず違和感をもたらしてしまうのです。
だから、この場合クロスフェーダーは使えないのです。
まとめ
上記で説明した繋ぎは、正直簡単すぎてあっけにとらわれるかもしれません。
(ベテラン勢から殴られそうな気配がします…)
しかし、その考え方は正しく音量を小さくすることで、曲が続いているということへの意識を避けることに一役買っている手法です。
初心者の方には大きくハードルを下げつつも、効果は高いはずです。
ぜひ、どんどんトライしてみてください!
本当に初心者の方は一瞬「自分天才じゃね?」と思えること請け合いですw
ただ、決して忘れてほしくないこともあります。
それは、この手法により「DJって超簡単じゃん!」だとか、今までのDJカルチャーやクラブカルチャーが作ってきた歴史を軽視したり、否定をしないでほしいということです。
HOUSEやTECHNO、TRANCEなどの四つ打ちによって培われた技術があったからこそ、今の垣根が下がったDJ市場やDJ人口が生まれたわけであり、私たちはその機会に触れることができています。
だから、その歴史を踏みにじるような考えだけは絶対に持ってほしくありません。
もちろん何が何でも四つ打ちをリスペクトしてほしいとも言いません。
あなたにはあなたの趣味趣向があるわけですし。
ただ、決して四つ打ちによるつなぎを馬鹿にはしてほしくはないのです。
また、そもそもがHOUSEやTECHNO、TRANCEなどのDJは、JポップやアニソンなどのDJとはその趣旨が大きく違い、グルーヴという一体感をクラウド(群衆)と共有することが一つの目的になっています。
Jポップやアニソンは、その時々の曲で大きな盛り上がりを見せますが、四つ打ちの場合、同じビートをひたすら続けることで音と心拍数を同調させ、そのビートに酔うことで一体感を感じていくことができます。
この点が最も違うので、お互いを比べるべきではなく、どちらかを卑下することもないわけです。
どのようなジャンルの選曲をしてようと、お互いを尊重しあえば穏やかでいられるはずです。
最後にちょっと説教くさくなってしまいましたが、そういった風潮を目にするとどうしても悲しくなるのでこの場に書きました。
さて、DJ初心者のあなたも簡単に繋げる手法は分かったでしょうか?
こんなに簡単なのに、決して無視できない効果があるので、ぜひトライしてみてください!
そして、この手法が問題なくできるようになったら、上手くループさせたりフィルターをかけてよりアレンジを考えてみてください。
それでは、楽しいDJライフを!